中空ガラスビーズ マイクロスフィアーズ

多種多様な可能性を秘めた無機添加剤

Hollow glass microspheres
 マイクロスフィアーズは一見すると高い流動性の粉末ですが、実はその一粒一粒が直径20~160μからなるごく微小の中空球で出来ています。材質はガラスであり、中空構造であることから低熱伝導率、低吸水性、また耐圧縮強度や耐薬品性、電波の透過性に優れている素材です。

顕微鏡撮影

中空形状を示す顕微鏡撮影
 マイクロスフィアーズは有機バインダーとの相性が良く、軽量かつ高強度の複合材料であるシンタクチックフォームに加工されます。また石油およびガス産業で行われる掘削工程では、穿孔液にマイクロスフィアーズを添加することにより、掘削効果が強化されるだけでなく掘削設備の耐用年数の向上にも貢献するという実績があり、これらはマイクロスフィアーズの最も多い用途として採用されています。
 塗料やワニス、シーラントおよびマスチックなどにおいてもマイクロスフィアーズは利用されつつあります。また爆薬へ添加することにより、爆発速度を著しく増加させ爆発プロセスの効率を高めることで採用されています。
 マイクロスフィアーズの品番は強度で分類されています。その分類は、一定量の試料を液体に投入、圧力をかけ試料の10%が圧力破壊により液体内に沈下したときの圧力として示しています。

品番 密度(g/c㎥) 強度(Mpa) 体積比(%) 水分率(%) 有機物量(%)
MSV-1 0.18~0.22 1.5
MSV-2 0.23~0.27 2.0
MSV-3 0.28~0.30 3.0
MSVP-30 0.21~0.25 3.0 60 0.3 0.15~0.35
MSVP-50 0.21~0.25 5.0 60 0.3 0.15~0.35
MSVP-60 0.26~0.32 6.0 60 0.3 0.15~0.35
MSVP-80 0.26~0.31 8.0 60 0.3 0.15~0.35
MSVP-120 0.28~0.32 12.0 60 0.3 0.15~0.35
MSVP-150 0.35~0.41 15.0 60 0.3 0.15~0.35

 一粒の直径が20~160μとバラつきがありますが、粒度分布は概ね以下グラフの通りです。

コンポジットアプリケーション

 マイクロスフィアーズの複合材をサンドイッチ構造に成形して軽量フィラーにすることで、宇宙航空、自動車、造船および建設産業における用途を大幅に拡大する可能性があります。