VMPガラス繊維

コストパフォーマンスに優れた高強度、高弾性ガラス繊維

 VMPガラス繊維(ロシア語標記:ВМП【Высоко Модульное Прочное】)は高強度、高弾性率が特徴で、高荷重コンポジット構造を作り出すユニークなFRP基材です。VMPガラス繊維の弾性強度特性はEガラスに比べて約30%ほど高く、耐熱性、耐水性、さらには長期強度を持っており、ガラス繊維で分類されるところの「Sガラス」に属する高強度ガラス繊維です。
 高強度、高弾性率の利点を活かし、原産国のロシアでは宇宙航空分野だけでなく、造船、自動車産業にも幅広く適用されています。VMPガラス繊維を基材とした複合材料は、シリンダー、パイプおよびコンテナなどに加工され、高負荷な複合建造物や風力発電所などに使われています。

化学組成

SiO2 Al2O3 MgO Tio2 F2O3 Zro2 Na2O+K2O
58~60 20~27 10~15 0.2~0.7 0.1~0.6 0.1~0.2 0.2~0.5

 

物理的特性と機械的特性の比較

項目 VMPガラス Eガラス
密度(kg/㎥) 2580 2540
引張強度(Gpa) +23℃ 4.2 3.4
-196℃ 7.0 5.0
引張弾性率(Gpa) 95 72
ポアソン比 0.25 0.24
線膨張係数(10^6(1/℃)) 3.5 5.5
軟化点(℃) 850 840
誘電率 5.9 6.1

 VMPガラス繊維は、エポキシとの相性がよいシランサイジングで処理されています。

 日本国内では厚さ40μ程度の平織クロスを試作し、クロスにシリコン樹脂を積層したシリコンシートとして評価しました。下の表は同じ平織クロスのEガラス製のシリコンシートの物性を1とし、VMPガラス製シリコンシートの物性の倍率を表しています。熱性能を損なうことなくより高い強度を得ることが出来ました。

  VMPガラスクロス Eガラスクロス
厚み(mm) 0.19 0.17
引っ張り強さ 1.4 1
引裂き強さ 3.4 1
絶縁破壊電圧 1.2 1
熱抵抗 1.1 1
熱伝導率 1 1

厚さ40μのVMPガラスクロス

またチョップドストランドの需要があり、強度向上目的のフィラーとして評価をしています。

3mmのチョップドストランド

ロービング

品番 繊維径(μ) 線密度(tex) 引張強度(N)
VMPR10-400 10 400 235
VMPR10-1200 10 1200 784
VMPR10-2400 10 2400 1078
VMPR10-450 13 450 216
VMPR10-900 13 900 342
VMPR10-1200 13 1200 637

ヤーン

品番 繊維径(μm) 番手(Tex) 撚り数(回/m)
VMPC6-7.2 1×1 6 7.2 55
VMPC6-14.4 4×4 6 57.6 100
VMPC8-28 1×2 8 56 100
VMPC10-40 1×1 10 40 55